オメガ(OMEGA)の「パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)」という機能は、その名の通り、大小の月(30日と31日)の違いはもちろん、4年に一度のうるう年(閏年)まで自動で判別し、次の西暦2100年まで一切手動調整が不要という、まさに究極の利便性を時計にもたらします。一度合わせてしまえば、あとは時計が止まらない限り、あなたは日付を修正する必要から完全に解放されるのです。
しかし、その高度な機構ゆえに、電池交換後や長期保管後など、カレンダーがリセットされてしまった際の再設定は、一般的な時計とは一線を画します。リューズ操作の順序や回数、押し込む深さなど、わずかな手順の違いでカレンダーが正しくセットできないこともあり、「せっかくの高級時計なのに、合わせ方が分からない」と焦りを感じるオーナー様も少なくありません。
本記事は、まさにそんなあなたの不安を解消するために存在します。
2025年9月現在の最新情報に基づき、オメガのパーペチュアルカレンダー、特にクォーツ式(Cal.1680系など)を搭載したモデルに焦点を当て、「合わせ方」の完全な手順を分かりやすく解説します。単なる操作マニュアルに留まらず、なぜその操作が必要なのかという機能の背景から、「故障かな?」と思った時のためのトラブルシューティングまで網羅。この記事を読み終える頃には、あなたはご自身のオメガを自信を持って操作し、その卓越した永久カレンダー機構の真のオーナーとなっていることでしょう。
さあ、究極の利便性を誇るオメガのパーペチュアルカレンダーを、完全に使いこなすための扉を開きましょう。
- 電池交換後の年・月・日の初期設定手順
- 「I, II, III, IV」が示す閏年サイクルのロジック
- 4秒運針や不規則な動きから故障を見分ける方法
- 短針独立操作が時差修正に便利な理由と活用法
【重要なお願い】 本記事で解説する手順は、オメガのパーペチュアルカレンダーに多く採用されているCal.1680系ムーブメントのロジックに基づいた一般的な操作です。お持ちのモデルの正確な操作手順は、必ず付属の取扱説明書またはオメガ公式サイトにてご確認をお願いいたします。
オメガ公式サイト「ユーザーマニュアル」https://www.omegawatches.jp/customer-service/user-manuals
トラブルを瞬時に解決!オメガ パーペチュアル カレンダーの合わせ方とリセット手順

- 【最重要】電池交換後のパーペチュアルカレンダー初期設定手順
- 日送り操作(日付の早送り)と時刻の合わせ方
- 設定途中でパニックに!合わせ方失敗時の対処法
- 豆知識:シーマスターなど一般的なデイトモデルの操作
オメガのパーペチュアルカレンダーを搭載したモデル、特に「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」などに搭載されているクォーツムーブメント(Cal.1680系など)は、電池交換や長期停止の後に再設定が必要です。その手順は、一般的な時計の日付合わせとは大きく異なりますが、正しいロジックを理解すれば決して難しくありません。
ここでは、カレンダー情報がリセットされてしまった状態から、年・月・日を順番に設定し直す「初期設定手順」を解説します。
【最重要】電池交換後のパーペチュアルカレンダー初期設定手順
パーペチュアルカレンダーの再設定で重要なのは、時計に「今が何年目の何月何日か」を、閏年サイクルを含めて教え込むことです。多くのクォーツ式永久カレンダーでは、リューズの「押し込み(長押し)」と「引き出し(1段または2段)」の操作を組み合わせ、月・年・日の情報を個別に入力します。
ステップ1:カレンダー情報の設定モードに入る
まず、リューズを通常位置(0段)にしっかりと押し込んだ状態で、数秒間(目安として5秒以上)深く押し込み続けます。
この操作により、時計は「初期設定モード」に入ったことを示す特別な動作をします。モデルにもよりますが、秒針が急速に回転したり、日付表示窓が空白になったり、設定すべき項目を順に指し示したりすることがあります。この挙動を確認したら、リューズから指を離します。
ステップ2:月の情報(Month)を設定する
次に、リューズを1段目まで引き出します。
リューズを回転させると、時針と分針は動かず、短針(時針)のみが24時間分ずつ進む動作(またはカレンダーディスクが動く動作)が確認できます。この動作を利用して、現在設定したい「月」に針を進めて合わせます。
月を合わせたら、リューズを元の位置(0段)に押し戻して設定を確定します。
ステップ3:年の情報(閏年からの経過年)を設定する
月の設定が完了したら、再度リューズを1段目まで引き出します。
今度はリューズを回転させると、文字盤上の日付表示や特定のインデックス(多くの場合、ローマ数字のⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳで示されることが多い)が動きます。これは、閏年(Ⅳ)から現在が何年目かを示すものです。
この情報は、一般的な日付窓ではなく、文字盤中央や特定のインデックス、あるいは独立した小さな小窓に表示されることが多く、設定時に注意が必要です。
インデックス | 意味 | 例 |
---|---|---|
I | 閏年から1年目 | 2025年 |
II | 閏年から2年目 | 2026年 |
III | 閏年から3年目 | 2027年 |
IV | 閏年 (4年に一度の2月29日がある年) | 2024年 |
現在が閏年からの何年目に当たるかを確認し、それに合わせて針またはインデックスを設定します。
年を合わせたら、リューズを元の位置(0段)に押し戻して設定を確定します。
ステップ4:日付(Day)と時刻を設定する
月と年の設定が完了すれば、時計は現在の正しい日付情報(閏年サイクルを含む)を記憶したことになります。
最後に、リューズを2段目まで引き出して、分針と時針を動かし、現在の正確な時刻に合わせます。
時刻が合ったら、リューズを元の位置(0段)にしっかりと押し込み、防水性を確保して完了です。
<補足と注意> ここで解説した手順は、Cal.1680系ムーブメントなど特定のモデルに共通するロジックです。リューズの段数や長押しの秒数はモデルによって異なるため、お持ちの時計の取扱説明書を必ず参照してください。
日送り操作(日付の早送り)と時刻の合わせ方
初期設定が完了し、日々の生活の中で時刻や日付を少しだけ修正したい場合の操作は、初期設定よりもずっと簡単です。
調整対象 | リューズ操作 | 動作 |
日付(日) | リューズを1段引き出す | リューズを回すと、短針(時針)のみが独立して動きます。この短針を2周(24時間)分進めることで、日付が1日分送られます。 |
---|---|---|
時刻(時・分) | リューズを2段引き出す | リューズを回すと、時針・分針が動き、時刻を合わせることができます(秒針停止機能付き)。 |
パーペチュアルカレンダー搭載モデルでは、この「短針独立操作」によって時刻やタイムゾーンの調整を行うことができ、カレンダー機構に負担をかけずに日付を修正できるというメリットがあります。
前のセクションで触れた短針独立操作は、「日付の早送り」という機能だけでなく、高級クォーツ時計ならではの非常に実用的なメリットを提供します。
トラベラー機能としての短針独立操作の優位性
オメガのパーペチュアルカレンダー搭載モデルに共通する、リューズを1段引いた際に行う短針(時針)のみを動かす操作は、単に日付を修正するためだけのものではありません。これは、オーナーが海外へ渡航し、タイムゾーン(時差)が変わった際に、非常に大きな利便性を発揮する「トラベラー機能」としての側面を持っています。
一般的な時計で時差を修正する場合、リューズを2段引き出し、分針と時針を同時に動かして時刻全体を合わせ直す必要があります。この際、秒針は停止してしまうため、正確な秒の情報を失ってしまいます。
しかし、オメガのパーペチュアルカレンダーの多くは、リューズを1段引いて時針だけを操作することで、分針と秒針を動かさずに、時刻と日付を現地時間に合わせることができます。
これにより、時計が持つ高い精度(分単位、秒単位)を一切損なうことなく、時差のみを素早く、正確に修正できるのです。海外出張や旅行で頻繁にタイムゾーンを跨ぐオーナーにとって、この短針独立操作は、最高のクォーツ精度を維持しつつストレスなく現地時刻へ切り替えられる、オメガが提供する大きな付加価値の一つです。
設定途中でパニックに!合わせ方失敗時の対処法
オメガのパーペチュアルカレンダーの設定はデリケートなため、手順の途中でリューズを戻し忘れたり、誤って2段引きにしてしまったりと、操作に失敗することは少なくありません。しかし、落ち着いて対応すれば、時計が壊れる心配はありません。
設定途中でカレンダー表示が狂ってしまった、または時計が意図しない動作をし始めた場合は、以下の方法で「リセット」または「再開」が可能です。
- リューズを全て押し戻す(0段に戻す)
- まず、リューズを完全にケース内に押し込み、設定モードから強制的に脱出させます。この時点で、時計は最後に確定した情報(多くは狂った情報)で動作を再開します。
- 再度リューズを深く長押しする
- リューズを完全に押し込んだ状態(0段)から、再び数秒間深く押し込み続けてください。これにより、時計は再度「初期設定モード」に入り、すべての設定をステップ1からやり直すことができます。
この操作は、時計内部の情報を初期化するトリガーであるため、何度でも実行可能です。一度失敗しても焦らず、リューズを完全に押し戻してから、深呼吸をしてステップ1から正しい手順を繰り返してください。
豆知識:シーマスターなど一般的なデイトモデルの操作
パーペチュアルカレンダーモデルではない、一般的なデイト表示(日付表示)のみを搭載したオメガのモデル(シーマスター アクアテラやデビルの一部など)は、操作がよりシンプルです。
これらのモデルの多くは、リューズを1段目まで引き出すことで日付の早送りが可能になり、2段目で時刻調整が可能です。これらの日付合わせは、月末ごとに手動での修正が必要ですが、パーペチュアルカレンダーのような複雑な初期設定は必要ありません。
あなたのオメガがどちらの機能を持っているか確認し、適切な操作方法を選びましょう。
なぜ特殊?永久カレンダーの構造とオメガの技術的優位性

- パーペチュアルカレンダーの定義と「アニュアルカレンダー」との決定的な違い
- 他ブランドとの比較:「ロンジン パーペチュアルカレンダー」に共通する設定ロジック
「合わせ方」の手順を見て、一般的な時計の日付合わせがいかにシンプルであるか、改めて感じた方もいるかもしれません。オメガのパーペチュアルカレンダーがこれほど特殊な操作を要求するのは、そのムーブメント内部で「未来の暦」を記憶し、制御するという高度な処理を行っているからです。このセクションでは、永久カレンダーが持つ究極の機能と、オメガが採用した技術の背景を解説します。
パーペチュアルカレンダーの定義と「アニュアルカレンダー」との決定的な違い
パーペチュアルカレンダー(Perpetual Calendar)は直訳で「永久カレンダー」を意味します。その機能は、単に日付を表示するだけでなく、次の三つの重要な要素を自動で判別し、機械的に表示し続けることにあります。
- 大小の月(30日と31日)の自動判別
- 2月の日数(28日または29日)の自動判別
- 4年に一度の閏年(うるう年)の自動判別と表示
つまり、一度正しく設定すれば、カレンダー機構が停止しない限り、手動で日付を修正する必要は一切ありません。この複雑な機構を実現するために、内部では閏年サイクルを示す「48ヶ月カム」と呼ばれる特殊な歯車が重要な役割を果たしています。
これに対し、同じカレンダー機能を持つ高級時計としてアニュアルカレンダー(Annual Calendar:年次カレンダー)があります。
機能 | パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー) | アニュアルカレンダー(年次カレンダー) |
大小の月の判別 | 自動 | 自動 |
---|---|---|
閏年の判別 | 自動 | 不可 |
手動修正の必要性 | 2100年まで不要(時計が停止しない限り) | 毎年一度、2月の終わりに手動修正が必要 |
オメガでは「コンステレーション グローブマスター」などでアニュアルカレンダー(Cal.8922など)も採用されていますが、その合わせ方もまた、リューズ操作による月と日付の独立調整が可能です。しかし、永久カレンダーは「閏年の情報」まで記憶しているため、万が一停止して再設定が必要になった際に、より多くの情報を入力する必要があるため、操作がより特殊になります。
他ブランドとの比較:「ロンジン パーペチュアルカレンダー」に共通する設定ロジック
オメガと同様に、スイスの時計ブランドであるロンジン(Longines)も、特に高精度クォーツムーブメント「V.H.P.」シリーズなどでパーペチュアルカレンダーを搭載しています。興味深いことに、ロンジンのクォーツ永久カレンダーの合わせ方にも、オメガと共通する設計思想が見られます。
ロンジンのモデルの一部では、リューズの「押し込み」で時計が設定モードに入り、リューズの「引き出し」と「回転」によって、月 → 閏年からの経過年 → 日といった、特定の順序でカレンダー情報を入力するロジックが採用されています。
この共通性は、オメガやロンジンが、ムーブメント製造のエキスパートであるETA社(スウォッチグループ傘下)の高度なクォーツ技術(特に電池交換後の再設定ロジック)を応用していることに起因します。
つまり、オメガのパーペチュアルカレンダーの設定は、特定のブランドやモデルだけが持つ特殊な操作ではなく、「クォーツ式永久カレンダーの国際的な標準的な設定ロジック」に基づいていると言えます。この知識があれば、将来的に他のブランドの永久カレンダーモデルに触れる際も、基本操作で戸惑うことは少なくなるでしょう。
その不調は故障ではないかも?永久カレンダーのトラブル対策とメンテナンス

- 【4秒運針】EOL機能と電池切れのサインの見極め方
- オーナーが陥りやすい操作ミスとオーバーホールの必要性
- 知っておきたい:オメガ パーペチュアルカレンダーに関するよくある質問(FAQ)
- オメガ パーペチュアル カレンダー:合わせ方の重要ポイント総括
「合わせ方」を試してもカレンダーが動かない、あるいは時刻が不安定だと感じたとき、「もしかして故障ではないか?」と不安になるのは当然です。しかし、オメガの高級クォーツ時計は、オーナーに優しく設計されており、その不調の多くは「故障ではないサイン」であることが少なくありません。このセクションでは、ご自身でできるチェック項目と、プロのメンテナンスが必要なサインを解説します。
【4秒運針】EOL機能と電池切れのサインの見極め方
オメガのクォーツムーブメントには、電池が残り少なくなったことをユーザーに知らせるための「EOL機能(End-of-Life:電池寿命警告)」が搭載されています。これは、時計が完全に止まる前に、電池交換を促すための非常に親切な機能です。
多くのオメガ クォーツモデル、特にCal.1680系などの現行ムーブメントでは、電池の電圧が低下すると、秒針の動きが以下のように変化します。
動作 | 意味 | 必要な対応 |
秒針が4秒ごとにジャンプして進む | 正常なEOL機能の動作(電池残量低下のサイン) | 早急に電池交換を行う必要があります。この状態でも数週間から数ヶ月は動作しますが、速やかな交換が推奨されます。 |
---|---|---|
秒針の動きが不規則、または完全に停止 | 電池が完全に切れた状態、または回路や機械機構の異常の可能性 | 電池交換が必要です。交換後も動かない場合は、オーバーホールが必要です。 |
最も重要な見分け方は、動きが規則的か不規則的かです。4秒運針は一見おかしな動きですが、そのリズムは正確に規則正しいものです。もし秒針の動きが不安定で、決まった秒数でジャンプしない場合は、内部の油切れや磁気帯びといった故障の可能性が高くなります。
オーナーが陥りやすい操作ミスとオーバーホールの必要性
正しい「合わせ方」を実践しているつもりでも、パーペチュアルカレンダーの機能が回復しない場合、それは単なる操作ミスか、あるいは構造的なメンテナンスの時期である可能性があります。
① リューズの「押し込み」不足によるトラブル
特にパーペチュアルカレンダーの設定が完了した後、リューズを完全に押し戻していないケースが散見されます。リューズが少しでも引き出された状態(1段目や2段目)にあると、防水性が損なわれるだけでなく、ムーブメントが設定モードを維持したままになったり、時刻や日付の動作が不安定になったりすることがあります。
時刻調整後は、リューズをケースにしっかりと押し込み、ねじ込み式の場合はしっかりと締め込むことを必ず確認してください。
📌 防水性を守るための「リューズ締め込み」の徹底
オメガのシーマスターなど高い防水性能を持つモデルの多くは、リューズをケースにねじ込んで固定する「ねじ込み式リューズ」を採用しています。これは、リューズの隙間からの水や湿気の侵入を防ぐための非常に重要な機構です。
時刻合わせやカレンダーの設定が完了した後は、必ずリューズを元の位置(0段)に押し込みながら、時計回りに丁寧に回して、完全にケースにねじ込んで固定する操作が必要です。
この「ねじ込み」を怠ると、リューズとケースの間にわずかな隙間が生じます。この隙間から湿気や水分が内部に侵入すると、クォーツムーブメントの電子回路やパーペチュアルカレンダー機構の繊細な歯車にサビが発生し、高額な修理(ムーブメント交換やオーバーホール)が必要になる原因となります。
特にパーペチュアルカレンダーのような複雑な機構は、ひとたび内部でサビや水濡れによる損傷が起きると、復旧が困難になるリスクが高いです。操作後は、指先にリューズがしっかりと固定された感触が伝わるまで、丁寧に締め込むことを習慣づけましょう。
② 内部機構の「油切れ」によるカレンダー不調
オメガのクォーツモデルは非常に高精度で耐久性に優れますが、内部の歯車や軸受けには潤滑油が使用されています。パーペチュアルカレンダー機構は特に複雑な歯車の組み合わせであり、長期間(一般的に5〜7年以上)メンテナンスをせずに使用すると、この油が劣化・固着して抵抗が増します。
症状:日付が深夜0時を過ぎても完全に切り替わらない、または切り替わりが非常にゆっくりになる。 |
原因:抵抗が増したことで、電池のエネルギーだけでは重くなったカレンダーディスクをスムーズに回しきれなくなるため。 |
対策:この状態は電池交換だけでは改善せず、ムーブメントを完全に分解し、洗浄・注油を行うオーバーホール(分解掃除)が必要です。 |
高級クォーツ時計を長く愛用し、その優れた永久カレンダー機能を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠なコストであると認識することが大切です。

知っておきたい:オメガ パーペチュアルカレンダーに関するよくある質問(FAQ)

- オメガのパーペチュアルカレンダーは、何年ごとに手動修正が必要ですか?
-
オメガのパーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)は、一度正しく設定すれば、2100年までは手動での日付修正は基本的に不要です。うるう年(2月29日)も自動で判別します。ただし、時計が完全に止まってしまった場合は、年・月・日の初期設定をやり直す必要があります。
- パーペチュアルカレンダー搭載モデルでも、オーバーホール(分解掃除)は必要ですか?
-
はい、必要です。クォーツ式であっても、内部の永久カレンダー機構の繊細な歯車には潤滑油が使われています。この油は時間の経過とともに劣化するため、約5~7年ごとを目安にオーバーホールを行い、油切れや部品の摩耗を防ぐことが、時計を長持ちさせるために不可欠です。
- 秒針が4秒ごとに飛んで動いています。これは故障ですか?
-
いいえ、これは故障ではありません。オメガのクォーツ時計に搭載されているEOL(End-of-Life:電池寿命警告)機能が作動しているサインです。バッテリー残量が少なくなっていることを示しています。この状態になったら、なるべく早く電池交換を行ってください。
- 時差を修正する際、カレンダーが狂う心配はありませんか?
-
ありません。オメガのパーペチュアルカレンダー搭載モデルの多くは、リューズを1段引いて行う「短針独立操作」に対応しています。これにより、分針や秒針を止めることなく、時針と日付だけを現地時間に修正できるため、時計の精度と永久カレンダーの情報が損なわれることはありません。
- リューズを強く締め込むのは、なぜ重要ですか?
-
リューズの締め込み(ねじ込み)は、時計の防水性を確保するために極めて重要です。特に防水性の高いモデルでは、操作後にリューズを締め忘れると、そこから湿気や水が内部に侵入し、永久カレンダー機構などの精密な部品がサビて深刻な故障につながるリスクがあります。操作後は必ず、リューズを完全に固定してください。
オメガ パーペチュアル カレンダー:合わせ方の重要ポイント総括
- シーマスターなどデイトモデルの操作はリューズ1段引きでシンプルである
- 初期設定はリューズの長押しから開始する
- 設定は「月」→「年」→「日」の順序で行うのが基本ロジックである
- 2025年10月現在、閏年からの経過年は「I」(1年目)を設定する
- 年の設定で使うローマ数字は文字盤上の特定のインデックスを確認する
- 設定途中で操作を誤ったらリューズを押し戻し、長押しで再設定モードに入れる
- 日付の早送りはリューズ1段引きでの短針独立操作で行う
- 短針独立操作は時差修正に便利なトラベラー機能として利用できる
- パーペチュアルカレンダーは2100年まで日付修正が不要な機能である
- 一般的なデイトモデルと異なり、複雑な初期設定が必要となる
- 電池切れのサインは秒針が4秒ごとにジャンプするEOL機能である
- 秒針の不規則な動きは油切れや故障の可能性が高い
- 防水性維持のため、時刻合わせ後はリューズを完全にねじ込む必要がある
- リューズの締め忘れは内部機構のサビや故障の重大な原因となる
- クォーツ式であっても約5~7年ごとのオーバーホールが推奨される
オメガのパーペチュアルカレンダーは、その卓越した機能でオーナーの生活を豊かにしてくれる、まさに「時計師の叡智」が詰まった傑作です。
本記事で解説した通り、電池交換やリセット後の初期設定は確かに特殊ですが、それは時計が閏年の情報を記憶するという高度な役割を担っている証でもあります。正しい手順さえ理解すれば、あなたはもうカレンダー合わせに悩むことはありません。
また、秒針の「4秒運針」というサインを見逃さず、適切なタイミングで電池交換を行うこと、そして数年に一度は内部機構の健康を保つためのオーバーホールを実施することが、この究極の機能を次世代へと受け継いでいくためのオーナーとしての責任です。
ぜひ、この記事を参考に、あなたのオメガが持つ永久カレンダーの性能を最大限に引き出し、生涯の相棒として愛用し続けてください。